夏、風通しが良い住まい
家の作りやうは、夏をむねとすべし。
冬は、いかなる所にも住まる。
暑き比わろき住居は、堪へ難き事なり。
徒然草(上)第五十五段
昨今、高気密高断熱住宅が普及してきました。冬暖かい住まいです。
しかし、夏涼しい・風通しというものは、今も昔も住まいにとって重要です。
夏の風向きを知る。
各地の気象台は風向きを毎日記録しています。
それらのデータをまとめたものがあります。それを卓越風向図と言います。
例えば、高松の風向図は以下のようになっています。
4月から11月の風向きを統計し、一日の風向きを視覚化したものです。
図からわかるように7,8,9月は、朝から夜にかけて北東から南西に、深夜から朝にかけては南南西から北北東に風が吹いています。
(あくまで各気象台の立地場所でのデータですので、山裾や海や河川の近くなど地域によって、風向きは変わってきます。)
こういった図を利用するのはもちろん、その土地に朝・昼・夜と最低三回は足を運び風向きを確認します。
できれば夏に行くべきですが、設計時期によっては難しいので、土地の所有者の方やご近所の方に聞き取りを行い、その代替とする場合もあります。
こうして夏の通風を考えることで、風通しの良い住まいを設計していきます。
こうして図面に設計者の思いが込められます
こちらは計画中の平面プランですが、例えばこのように風向きを考えます。
この土地は北西に川があり、夏には北西から風が吹いてくること、南が幹線道路で音が大きいことから、図のように計画しています。
こうした設計手法を最近ではパッシブデザイン【passive design】と呼んでいますが、この通風利用は、自然の力を利用したおそらく最も判りやすい設計方法です。
パッシブデザイン【passive design】
建築の設計手法の一。特別な機械装置を使わずに,建物の構造や材料などの工夫によって熱や空気の流れを制御し,快適な室内環境をつくりだす手法。
コトバンク
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